天翠茶寮

箱根強羅のちょっとぜい沢な温泉旅館『天翠茶寮』に泊まってみた!

箱根強羅のちょっとぜい沢な温泉旅館『天翠茶寮』に泊まってみた!

 2月24日、月末金曜日は午後3時退社を奨める「プレミアムフライデー」がスタートした。趣味に、買い物に、旅行に、習い事に・・・なんて世間じゃ騒いでいるが、働き続けので、そもそも余暇をどう使ったらいいかわからない。そんな方たちへ!「箱根の山」を登ってみませんか?といっても、実際に脚で登るのではなく鉄道で!新宿から箱根湯本まで小田急VSEで約1時間30分。さらにその先の強羅まで足を伸ばせば、日本一の急こう配を登る箱根登山鉄道で“箱根の山登り”。『天翠茶寮(てんすいさりょう)』というぜい沢な温泉旅館で一泊し、ケーブルカーで早雲山まで行き、逆のルートで東京大手町まで小田急MSEで戻るという周遊の旅プランを提案です。

箱根強羅のちょっとぜい沢な温泉旅館『天翠茶寮』に泊まってみた!

 新宿から箱根湯本へは小田急の特急ロマンスカーで一本です。多くのロマンスカーが走っていますが、記者のお勧めは50000形VSEです。シートピッチも広く、座席が少しだけ窓側に角度がついていますから通路側の人も景色を楽しむことができます。時刻表を見ればVSEで走る列車はすぐにわかりますので、時間さえ合うのであればVSEを選択したいところです。

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 箱根の単純往復であれば、普通乗車券と特急券でいいのですが、箱根湯本の先まで足を伸ばし、さまざまな観光施設を巡るのであれば、箱根フリーパスが便利です。2日間用と3日間用があります。記者が購入したのは新宿発着の箱根フリーパスで5140円。
 これには往復の乗車券と、箱根地区での登山鉄道、バス、ケーブルカー、ロープウェイ、観光船が乗り放題の乗車券が1枚になっています。箱根に着いたら、あとは指定された乗り物であれば定期券のように見せるだけで何度でも乗降可能です。
 ただし、ロマンスカーの特急券は別途購入しなければなりません。新宿から箱根湯本までの特急券は890円です。VSEでも他の車両でも同額です。

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 ロマンスカーが到着したホームの向かい側から箱根登山鉄道に乗車します。正確には小田原までが小田急で、小田原からは箱根登山鉄道となるのですが小田原から箱根湯本まではすべて小田急の車両が走っています。
 箱根湯本から強羅までは本当に登山鉄道です。鉄道ファンでなくてもびっくりするほどの急勾配と急カーブを体感できます。もちろん、箱根フリーパスの区間内ですからそのまま乗車してもいいですし、一度箱根湯本で下車して食事をとったり、お土産の品定めをすることも可能です。

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 写真はスイッチバックと呼ばれる急勾配を登るための施設です。
 右側の線路を登ってきた電車はこの場所で進行方向を変え、左側の線路に入りさらに「山登り」をします。
 最大勾配は80パーミルです。パーミルという単位は聞き慣れないかもしれませんが、パーセントが百分率で、パーミルは千分率のことです。つまり、80パーミルは8パーセントと同じ意味で1000分の80です。勾配を表す場合は1000メートル走ったときに80メートル登っていることを表します。この勾配は、ケーブルカーや事業用ではない鉄輪走行をする普通鉄道では日本一の勾配です。
 また、2量編成や3量編成の車両がありますが、車両間の通り抜けはできません。これは、最小半径30メートルの急カーブを走行するためで、車両間の幅が一般の鉄道車両よりも長く取ってあるためです。したがって、通り抜けをしないために車両間の幌はありません。

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 終点の強羅(ごうら)に到着します。ケーブルカーで早雲山に登る方は、乗り継ぎ改札を抜ければそのままケーブルカーに乗車できます。もちろん、箱根フリーパスの範囲内です。記者は強羅駅で下車します。

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 天翠茶寮は、強羅駅から徒歩5分のところにある温泉旅館です。旅館といっても、高級ホテル以上の施設で12部屋しかありません(1泊2食つきで、おおむね5万円ほど)。
チェックインは部屋で行います。温泉旅館では中居さんがお茶を入れてくれるのが定番ですが、ここではチェックイン手続きを部屋で行っている間に抹茶が運ばれてきます。
 夕食時間は複数から選べますので、その間は温泉に浸かるなり箱根フリーパスで散策するなりご自由に…。夕食は専用のダイニングで取ります。案内された席には記者のネーム入りのメニューが備え付けられていました。

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 料理のすべてを紹介すると、それこそ10枚以上の写真が連なることになるので、少しだけ紹介します。前菜は最初出てきたときには、三段重箱かと思っていましたが、ガバッと開いてびっくり。お洒落すぎてのけぞってしまいました。あとで取材目的で聞いた話では、複雑な構造のためにお手入れが大変なのだとか。

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 有名な観光地のために、外国人も多く訪れます。もし、外国人の場合はメニューはどうするのか聞いてみたところ、同じメニューの英語併記版を見せてくれました。東京に戻ったあとに、英語が堪能な外国人に読んで聞かせたところだいたい理解してくれました。
 この日は、メニュー以外にシークレットメニューが隠されていて、これにもびっくり。
 日本料理は一品あたりの量は少ないのですが、さすがにこれだけ多くのメニューが出てくるとお腹いっぱいになります。

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レストランマネージャーの石原敬史郎さん

 記者のテーブルを担当してくれたのは、レストランマネージャーの石原敬史郎さん。
少し話を聞いてみました。

 --外国人用の英語併記メニューがあるのは驚きでしたが日本料理が慣れない人もいるのでは?
 「実はそうなんです。あらかじめお伝えいただければ対応できるのですが、例えばお刺身に火を通してくれとかですね(笑)」

 --それはもったいないというか無謀というか…
 「食文化の違いですから仕方がないですね。そういう場合はお刺身を炙りにします。温泉卵もボイルしてくれという要望もあります」

 --確かに日本以外で生卵を食べる習慣はないですからね。料理は山のものに限ってないんですね。
 「そうですね。地元のものや、近いところでは小田原のものも使いますし、今日のご飯は北海道産ななつぼしを使っています。物流が発達していますから美味しいものを厳選してご提供できればと思っています」

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 和牛の塩麹漬けが出てきました。これは自分で焼いて食べます。朴葉の上で焼くのですが、いい香りで舌の上で溶けてなくなってしまいました。
 日本料理の懐石では、ご飯は最後です。しかもおかずはありません。漬物と汁物だけで頂きます。ご飯そのものが美味しいので、心配しなくても大丈夫です。
 食前酒以外のお酒類やドリンクは別料金ですが、デザート類にも合うリキュールを用意してくれました。
 日本料理はどちらかと言うと薄味で味気ないと思っている方も多いと思いますが、ここの料理は味が濃いというわけではなく、じっくりとしみわたっているものばかりで、時間をかけて下ごしらえされているのがよくわかります。

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 部屋は12室しかありません。
 竹を彫って作った「表札」があり、和の雰囲気満点です。
 また、「日常を忘れる」とは言ったものの、スマホは手放せません。もちろん高速Wi-Fiは完備していますが、ベッドルームの枕元コンセントにはUSB出力が備えられています。それも2アンペアの大容量電流が取れますので、スマホだけではなくタブレットも高速充電が可能です。
 さらに、アメニティキットにも力を入れており、国産の高級専用品が並びます。アメニティというと、女性用が注目されがちですが、男性用も充実しておりカップルでの宿泊ではついつい男性もオシャレをしたくなるような充実度です。

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 洗面台はベッドルーム内にあり、鏡台として使用します。照明はメイク落とし用とメイクアップ用の2種類がスイッチで切り替えできます。
落とすときは白熱球のような温かみのある照明で、メイクアップ用は白色の明るいものでした。女性にはありがたい心遣いなのかもしれません。

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 ベッドルームは一段高いところに分厚いマットレスが直におかれています。
 ベッドには、ベッドスローが掛けられていますが、本物の和服の帯です。アンティーク帯を手直しした逸品で、2つと同じものはありません。まさに、いにしえのオシャレの極致と言えるでしょう。

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 天翠茶寮には大浴場はありません。隣の「強羅天翠」の大浴場を利用することもできますが、天翠茶寮には全室に露天温泉風呂が備えられています。強羅天翠の大浴場とは違う温泉をわざわざ運んできて全室に引いています。
 江戸時代には徳川将軍家にも献上された由緒正しい名湯です。循環加温されていますので、いつでも好きなときに入ることができます。強羅天翠の大浴場と違う温泉を使用することにより、両方を楽しんでもらおうというおもてなしだろうと感じました。

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 部屋には異なる3種類のコーヒー豆が置いてあります。これを自分で挽いて入れます。好みの割合でブレンドしてもいいですし、飲み比べても構いません。喫茶店でしか見たことがない手動の豆挽き機で自分で挽いて入れるコーヒーはまた格別。贅沢なひとときです。

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 朝食も夕食と同じダイニングで取ります。豪華絢爛な和食づくしにご飯はすすみます。旅館での朝食はついつい食べ過ぎる傾向にありますが、チェックアウト後の観光のことを考えるとたっぷりと食べておきたいものです。夕食にも出された北海道産の「ななつぼし」は食べきれないほどお釜に入っているので、心配はご無用です。
 なお、朝食の前にほうじ茶が出されましたが同時に本日の一番だしが出されます。出汁を飲むわけです。これがまた美味しくて、日本料理独特の「うまみ」がじわっと体にしみわたります。

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 食事の途中に食後のお茶を聞かれます。記者は紅茶にしましたが、茶葉の種類を選択できるとは思いませんでした。ミルクを温めたり茶葉を用意したりするために先に聞いておくのだろうと思いました。

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 遠くの観光地に宿泊した場合、帰京しなければならないのでどうしてもチェックアウト後は帰路につくことになります。しかし、ここは箱根。新宿まで2時間そこそこです。午後までゆっくりと観光ができます。
 ということで、天翠茶寮をチェックアウトした記者は箱根フリーパスでケーブルカーに乗ることにしました。このケーブルカーは珍しい途中駅のあるものです。つるべ式のケーブルカーなので、上りが停車するときは下りも停車します。つまり、途中駅4駅は全て等間隔に並んでいるのです。そうしないと、どちらかが停車したときには駅ではない場所で止まることになります。
 車両はスイス製でモダンな2両編成です。早雲山まで行きましたが、その先はロープウェイに乗り、芦ノ湖まで足を伸ばすことが可能です。芦ノ湖では箱根フリーパスで遊覧船に乗船することも可能です。
 この日はロープウェイが工事で区間運休していて代行バスでの輸送でしたので、取材時間の関係で早雲山で折り返すことにしました。

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 下りの箱根登山鉄道を箱根湯本で下車して、改札の外に出ました。ちょうど折り返しの登山鉄道が強羅に向けて出発しているところでしたが、いきなり80パーミルの勾配になっています。箱根湯本にはお土産や食事、休息ができる施設がたくさんありますので、帰りのロマンスカー発車時刻まで散策ができます。

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 復路のロマンスカーは小田急60000形MSEに乗車しました。あれだけ推していたVSEではなくMSEにしたのには理由があります。この列車は地下鉄に乗り入れるのです。記者が乗車した「メトロはこね22号」は小田急線から代々木上原駅を介して東京メトロ千代田線に乗り入れ、北千住まで走ります。したがって、新宿には行きませんが千代田線内の停車駅で下車できるので帰宅が楽になります。

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 代々木上原駅は停車駅ではありませんが、運転士と車掌は小田急から東京メトロの乗務員に交代するために停車します。そのまま千代田線に入り表参道、霞が関、大手町と停車して北千住まで行きます。記者は大手町で下車して、都営三田線に乗り換えて帰宅しました。

 箱根への往復で乗車した小田急ロマンスカー、急勾配と急カーブでスリル満点の箱根登山鉄道、途中駅のある面白いケーブルカー、そして贅沢な温泉旅館である天翠茶寮と1泊2日の旅をレポートしましたが、たまの贅沢には距離的にも時間的にもぴったりです。
記念日や自分へのご褒美にお出かけしてみてはいかがでしょうか。

 取材・執筆記者 古川智規(フリーランスライター)
 ※写真はすべて記者撮影